因果経過の錯誤
行為者が事前に予見した因果経過と現実の因果経過とが構成要件の範囲内で符合している限り、行為者は規範に直面し、反対動機を形成する機会を与えられていたといえる(故意責任の本質)。
→行為者に故意責任を問うことができる。
禁制品(覚醒剤など私人による所有・占有が禁止されている物)は財物か
禁制品もその没収には一定の手続きが必要
→法律上の手続きによらなければ没収されないという意味で事実上の所有可能。したがって、この範囲において財物性を認める。
=財産罪の客体たりうる。
名誉・信用に対する罪
230条1項が「公然」性を要件とした趣旨
=事実が不特定又は多数人に摘示された場合に、さらにその事実が他の者にも伝播され悪評が広く社会に流布される類型的危険の存在
→事実の摘示の直接の相手方が、特定小数人であっても、不特定又は多数人へと伝播しうる場合には「公然」性があるというべき。
片面的共同正犯(60条)/片面的幇助犯(62条1項)
共同正犯の一部実行全部責任の根拠は、共同犯行の一帯性に求められるため、意思連絡は不可欠の要件と解すべきである。
→片面的共同正犯は認められない。
もっとも、共犯の処罰根拠は正犯を通じて間接的に法益侵害ないしその危険を惹起した点にある。したがって、この点を満たす限り、正犯と共犯との意思連絡はなくとも可罰性を肯定できると考える。
そこで、幇助犯の成立には意思の連絡は不要であり、いわゆる片面的幇助も「幇助した」にあたると解する。
間接幇助(62条1項)
凶器を貸与すること等によって不法行為を促進しあるいは容易にしたといえるような、間接的な形態による場合でも「幇助した」(62条1項)といえるか、その意義が問題となる。
→共犯の処罰根拠は、正犯を通じた間接的な法益侵害又はその危険の惹起に認められるから、間接幇助も、正犯結果を促進し又は容易にしたといえる限り幇助犯として可罰的であるといえる。そうだとすれば、理論的には間接幇助も過罰的であるといえる。にもかかわらず、間接教唆について処罰規定が置かれているのに(61条2項)間接幇助について規定が置かれていないのは、間接教唆についての規定が注意規定であり、それがある以上、幇助犯についてはあえて規定を置く必要がないからであると解することができる。
「幇助した」…正犯の実行行為による結果発生を物理的心理的に促進し又は容易にしたといえるか。
自招侵害(最決平成20,5,20)
攻撃が被害者の前暴行(挑発行為)に触発されたものである時、正当防衛は成立し得るのか。
→防衛行為者が自ら不法な相互闘争状況を招いたといえる場合は、正対不正の関係ともいうべき正当防衛を基礎づける前提を基本的に欠いた不正対不正の状況に他ならない。よって、正当防衛の成立は制限されるべきである。
具体的には、本問のような故意による暴行が先行する事案については、侵害行為が挑発行為に触発された一連一体の事態か否かを問い、これが認められる場合に、攻撃が挑発行為の程度を大きく超えるものでなければ、防衛行為者において何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況にないと解すべきである。
暴行(208)と傷害(204)
人に対する不法な有形力の行使→暴行罪(208)
人の生理的機能を害するもの→「人の身体を傷害」するものとして傷害罪の構成要件に該当(204)